ONE PIECEが、かなりガチに西遊記だと気づいたときに、あぁそれなら「五老星」は五行山なんだろうな、と思った。
もちろんベトナムのお山でなく、中国にあるとばかり思い込んでいた、孫悟空に500年間も乗っかっていた五行山だ。
しかし、山は悪いことをしただろうか。
山より大きな力のある方が、乱暴で目に余る「石猿」孫悟空を懲らしめるためにヒョイと乗っけただけだ。悟空の力を封じ込める海楼石・・・いや違った、お札を使って、だ。
山に罪があるとしたら、500年間、自分の足下で叫び続けるお猿の声を黙って聞いていたことくらい。
「五老星」について当時それほど情報はなかったが、僅かな登場回数の中で、均衡ばかり願っているように見えた。
海軍の一強ではなく、とにかく均衡、均衡、バランスばかり考えているかに見えた。
では「天竜人」はと続けて考えた。
「五行山」と思考した頭で「推定無罪」のフラットに戻ると、既視感がたくさんありまして。
ONE PIECEはいつも「人質」をとられる。
サンジが「バラティエ」とゼフを盾に取られてお茶会に出向く
トンタッタはマンシェリー姫が重い病気だと騙され搾取された
光月おでんも「国」と「人」をダシにされ騙し取られた
ナミさんは、故郷をアーロンから買おうとしてたな
ロビンもCP9に約束を破られた
ついでに九里城ってリク王軍の逆さまだよねと気づく
方舟ノア
そのうちプルトンが「海楼石の潜水艇」と気づくと、魚人島で見た「方舟ノア」は、マリージョアの人質救出船だったのではと推測される。
答えはいたるところに用意されていたけど、自分がおもしろかった順に並べてみる。
- バギーの出世
- 人魚ケイミーちゃんのリュックと金魚鉢
- ドンキホーテの名前
- シャーロット・プリンの能力
- トンタッタ族の記録
バギーの出世
あの、間が悪いタイミングに居合わせる可笑しな運と、周囲の思い込みと誰かの友人・知人という肩書きだけで、誤解に誤解が重なって四皇にまで昇りつめた。
本人はハリコの虎で、いつもガクブルしている。
因みに初期のバギーは額に十字傷があったのが、いつしかバッッテン骨マークに変わっていた。
人魚ケイミーちゃんのリュックと金魚鉢
絵で気づく私と同タイプの人は多そう。
シャボンディ諸島編で、最初に天竜人を見たときはストーリーだけ追ってしまうが、二度目に読んだ時くらいに、おや不自由そうだと、酸素マクスはコロナ禍の鬱陶しさを思い出すし、ボンベは自分で担いでいるし、奴隷に乗ってもカメの歩み。
トットランドやスリラーバーク、馬車はいくらでも登場するのに。
羨ましさが微塵もない。できることは銃を撃つこと、魚人差別でヒィヒィ騒ぐこと。
インペルダウン〈レベル6〉が無限の退屈地獄なら、これも一つの地獄じゃね? とオークション会場に入ると、拉致されたケイミーちゃんと天竜人が同じ格好をしている。
金魚鉢の中の人魚と、金魚鉢を被って騒ぐ天竜人。
どちらもリュック。鏡の世界。
どっちが囚われ人だ?? どっちもだ。
ドンキホーテの名前
あまりに有名で、あらすじを知った気になっていた小説「ドン・キホーテ」を調べると
騎士道物語の《読み過ぎ》で現実と物語の区別がつかなくなった郷士
父上のホーミングは、 帰巣性(きそうせい)、Homeの進行形で故郷に帰ること
ドフラミンゴは「天竜人伝説を聞かされすぎ」疑うこともなくそう思い込んだ上に、地上に降りるとファミリーの幹部たちが王になる男と祭り上げてしまった。
ドレスローザは「忘れられた者達」と「忘れた者達」がいる悲劇の国。世界の縮図として描かれている。
ドフラミンゴもイム様のある部分でミニチュア・スケールなのだとして読み直している。これまでの敵役はすべてそうだ、と思っているというか。
天竜人は、いまや外出自由で国外視察にいく場面もあり、そのときは四角い酸素マスクが描かれていた。
ドンキホーテ・ホーミング聖のように、マリージョアから下界に降りることも、非難はされても可能である。
だが900年の乖離が何をもたらしたか。故郷に帰ったホーミング家の悲劇。
コラソンの父は、はじめから人間ですよときっぱり言える人物だったのに、バギーの喜劇と逆の悲劇。
編集と改竄
シャーロット・プリンの「メモメモの実」エディット!は人の記憶をフィルムのように取り出し、カットし、都合の良い場面をペタッと貼り付け「改竄する」
レイジュには落ち着いてそれが出来たが、サンジとのキスシーンは「カット」しか出来なかったため、サンジは数秒間か数分か、不自然な「空白」ができて戸惑っていた。
まず「空白の100年」があり、突然、歴史再開となる800年前がある。
イムまたは世界政府は「100年」をカットし、都合よく再スタートしたが、貼り付けるフィルムは「20人の王が」世界を創造したとしか語れない。
ディティールのない痩せ細った神話。
トンタッタ族長は語る
遥かむかしトンタッタ族は、隣国の王「ドンキホーテ」に出会い、またいつものように騙されて、長い「奴隷時代」があった。
それが900年前まで。克明に記されているという。

そして800年前に、ドレスローザに新たなリク王家が誕生する。
「空白の100年に何があったか知り得ぬれすが」
妖精と見紛う小さなトンタッタだから、100年の戦に巻き込まれず、敵に見つかりもせず生き延びられたのだろう。
トンタッタは嘘をつかない、その克明な記録にも「空白の100年」があるから、ドフラミンゴの語る「天竜人の発祥」も真実に聞こえてしまうが、まるで話が違う。

ドフラミンゴは、800年前にオレたち本来の王家はお引越しをしたんだぜ、という。まるで月曜日に出ていって、金曜日には次の王が選出されたかのような口ぶりだ。「900年前」から旧ドンキホーテ王は不在なのだ。

900年前に、騙し討ちか攫われたか「事変」が起こり、100年かけて編集された。子へ孫へ代を経て忘れてしまうように。口を閉ざすように脅し、彼らが忘れ去られてしまうように。
プリンちゃんのように1対1の話ではないから、世界中が諦めるまでに100年かかった。だから唐突に「世界政府」ははじまる。貼り合わせるフィルムが「誰か20人くらい王様がいたんだってさ」しかない。
それでも「改竄」は800年かけて真実のように語られるようになった。
「大きなマジックショーほど意外に簡単な所にタネはあるもんだ」
とドフラミンゴの口で語らせ、ワノ国では「傳ジロー」が釣り銭詐欺のような返金詐欺のような数字をならべる仕掛けを見せる。
ポーネグリフは、幾百の時を超えて後世に事実を伝えるためにつくられ、最初はゾウが運んだのかと想像していたが、ワノ国編でボンクレーの「マネマネの実」とバルトロメオの「バリバリの実」が出てきて考えが変わった。
過去の「ニキュニキュの実」の能力者がしかるべき場所へ飛ばしたのではないか。
虚の玉座

おそらく、この画面を見たときから、小さな違和感が生まれたのだと思う。
20本、19本の剣なら「誓いの証」に相応しい気もするが、この夥しい数の剣。
玉座の間は、ドラマでよく見るシリアルキラーが「戦利品」を持ち帰りたがるのと同じ、コレクション・ルームにしか見えない。
玉座の高い背にあるグランドライン地図は、奪った戦利品ではなく「成果物」自分がつくり変えた世界地図。
そして地下の冷え冷えとした部屋にあった大きなムギワラ帽子は、人目に触れる場所にはおけない、玉座の間にはふさわしくないから隠されている戦利品なのだと思うようになった。
イブかイムか、二人の共同作業か。桜を見る日がとても待ち遠しい。
その前にバーソロミューくまの魂はどこへいったのか。