ONE PIECEはディケンズ式に「あらすじ」を物語の中に埋め込んでいる。
それを「マトリョーシカ」だと感じても、イム様の頭はクロッカスにそっくりだと気づいても、いずれグランドラインの「双子岬」から読み返すことになり
くじらの腹の中が、マリージョアとインペルダウンを結ぶ地下通路
リトルガーデンは失われた100年の争い
ドラム王国で起きた奇跡が、ONE PIECEの最終章の「1枚」と想像できる。
雪崩の起きた雪山で、小さなラパーンが赤い目で睨むのを、雪に埋もれた親ラパーンを片手で抜き出して救うルフィは 陽樹イブをいずれ抜くという図
レッドラインが崩壊すれば、瓦礫は赤い花びらが舞うように見えるだろう。ヒルルクの桜。シャボンのような樹脂に赤い花びらが付着して舞い散る光景は奇跡のバラに見えるのかもしれない。
ドルトンは「ウサギ」と言い、ルフィは「シロくま」みたいだと言い、城＋くま。私は前々からトラファルガー・ローはまるで、モンキー・パンチの「ルパン三世」の相棒「次元大介」に似ていると思っていた補足を見つけた気になる。
次元大介が石川五ェ門の帯刀を真似て、大太刀をかついだような、だ。
ラパーンはルパンだ、と。おでんの五右衛門風呂も同じ。
高い山の上の城には魔女と呼ばれるDr.くれはがおり、「城」が現れる場面はすべて、この先に登場するイム様やマリージョアを指している。
ギャング・ベッシはゴッドファーザーの「ファーザー」呼び、洗礼のつきそい人、神父さまこそが本来の「ファーザー」
部下にはヴィトー・コルレオーネを思わせる「ヴィト」がいる。
ジェルマも城持ち、ホールケーキアイランドも城がある。
いつも地下で奴隷生活を強いられてきたトンタッタの歴史は、いま現在マリージョアで「動く歩道」の動力になっている「大人間の奴隷」について語っているかのよう。
正義の門は立派だけど、どういう仕組みで開閉しているのだか。
失われた100年
「東の海」編は物語全体のプロローグで
グランドラインに入り、双子岬からドラム王国までで、900年前の出来事は語られている。イッシー100など、失われた100年はここにあるとマークアップしている。イッシー20の方は外道の代名詞だ。
ドラム王国はまず「名もない国」として登場する。
黒ひげが5人で襲い、ワポルという王が逃げ出し、王不在・医師（意志）も不在で魔女だけがいる。
言葉遊びついでに、「東の海」はなぜ最弱なのか。
ドラゴンボールの東西南北・東の界王神が最も若い：最若だからだ。
パンゲアは、孫悟空の息子「悟飯」がミスター・サタンの娘との間にもうけた一人娘がパンちゃんだから。
もちろん陽樹イブのためにバラバラになった大陸の意味も匂わせるパンゲア大陸。
えーと。考察サイトで広告費を稼いだなら、ドラゴンボールを全巻買って読み直しなさい。それがいちばん近道だから。
天津飯は三つ目だし、手塚治虫も「三つ目がとおる」という作品を描いていた。
ついでに海軍の笹の葉みたいな鋭いマークはインドラの「1000の目」を表していると個人的には思っている。
インドラは阿修羅と戦争になった理由も1000の目になった理由もとても「少年漫画」向きとはいえないが、アマゾン・リリーのニョン婆がこの「戦争の最中に」とハンコックの恋煩いに小言をたれていたのが、インドラをしっかり指していた。ブルックが蟻の行列を踏まずに通してやる紳士な表紙絵もしかり。
仏教は「赦し」を重視するため、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」といい、生前の極悪非道とは別に恩赦のような観点がつきまとう。何をしたか、より良心や善性の有無が問われる傾向。
ヒルルクは全身で十字架を描いていたよね、などは書き出すとキリがないので、前稿の、虚の玉座は「雪の女王」だよねへ戻る。
雪の女王でルートへ辿りついた、なら私は気持ちが良かったが、かの美しくも恐ろしいと言われる「雪の女王」は〈悪魔の鏡〉の破片に蝕まれたカイを魅入るように連れ去っただけで、それは死神のようだが、悪魔の鏡を創った主ではなく。
ドラム王国にはじまり、ドレスローザで閉じる「中・マトリョーシカ」は、ブリキの兵隊・ブリキの太鼓で繋がっている。
映画「ブリキの太鼓」
3歳の誕生日を迎えたオスカルは、大人たちの醜い世界に嫌気が差し、自らの成長を止めてしまう。 それと同時にオスカルは、誕生日プレゼントにもらったブリキの太鼓を叩きながら奇声を発するとガラスが割れるという不思議な能力を身につける。 ナチスの台頭によって町の平和が脅かされる中、オスカルの家族を悲劇が襲う。
太鼓：ドラムとスズの兵隊さんと〈悪魔の鏡〉がここで繋がる。
成長は止まるが年はとる、10歳の外見で実年齢22歳「シュガー」のような主人公、オスカル。
しかし映画は過去に観たのか、観ていないのか、記憶にもない題名だけはなんとなく・・・という私は先にJAPAN「錻力の太鼓」を思い出している。
このアルバムジャケットに写っているボーカル「デヴィッド・シルヴィアン」がソロアルバムとして最初に出したのがBrilliant Trees（ブリリアント・トゥリーズ）歌詞は興味があればググってください。
話をとても省略したくなっている・・・
JAPANのデヴィッド・シルヴィアンといえば坂本龍一に影響を受けたミュージシャンで、「錻力の太鼓」の10年後に『レイン・トゥリー・クロウ』 – Rain Tree Crowと名乗る、ずっとひとつ所を旋回し続けるような拘りも見える。
その坂本龍一のいたYMOには、「RYDEEN」という曲がある。
江戸後期の伝説的な力士「雷電爲右エ門」から『雷電』と表記された。
ゼウスの雷雲、インドラの雷霆、そしてイエローマジックオーケストラの「雷電」
ドルトンに似た、プルトンから、プルトニウム・ウラン、天王星（Uranus、ウラヌス）と辿り着くと、マザーフレイムは
Flame
燃焼しているガスや液体から発生する明るく熱い光を指す。 火の炎やろうそくの炎など、炎を形成する物質が燃焼する際に放出される光や熱を表す言葉である。
あぁしかし、シルバーズ・レイリーのモデルとして、デヴィッド・シルヴィアンの現在はあがっていないんだね。わりと似てるのに。
日本贔屓だったので、般若の面など持って、ヤマトみたいなお写真もある。
Brilliant Trees 陽樹イブ
と、ドラム王国に見えた気がする宝樹アダムまで揃ったところで、バラの名前。
ゲルダの花園はドレスローザの花の丘に見え、天月トキのモデルだろう細川ガラシャの辞世の句は
「散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ 」
ONE PIECEに、名前に限らずアロハシャツから花束まで、花があふれているのは南総里見八犬伝の「牡丹のアザ」からしても宿命なわけで、その中で特にバラの足跡を辿りなさいというのは
レベッカの薔薇
どこかの王子様の子で
何百人も人を殺して 手が真っ黒に汚れている父親をもつ子が
どこかにいるぞと予告するからだ。
ナミさんの境遇
しらほしに会った時に、「少し境遇が似ているからかも」というのは、アーロンに閉じ込められて海図を書かされていた自分と、バンダー・デッケン九世のせいで硬殻塔に軟禁状態だったしらほしを重ねているから。
なぜ強調するかというと、ナミの名前は1本で書ける線5本で、オトヒメ母子5人の5本指の指切りを連想するもの。
過去の赤壁の戦いを模した「マリンフォード頂上戦争」では、白ひげ・エース・ルフィ、とそこに見えないワノ国の王（プルトン）と海王類の王（ポセイドン）5者が見えるからだ。
おまけにナミさんは、5日病という名の「ケスチア」を罹患した。
実際に〈リケッチア感染症〉というのがあるそうだが、「ケスチア」の症状はなぜ離れ九曜紋のような形をしていたのか。
前半の旅は、あとになって気になることばかりだ。
しらほしより、さらに境遇が似ているビッグ・マムは血統因子とソウル（魂）の要なわけで。
また悲しいことに、バンダー・デッケンは、勝手に皇帝のお姫様に求婚しておいて、贈り物を無碍にされ、「豚飼い」のフリまでして、皇帝の娘に復讐を果たしたアンデルセンの「豚飼い」王子がモデルのようだ。
アンデルセンが気の毒なので、海野つなみさんの豪華装丁本をリンクしておく。
海賊で王のワポル
ドラム王国が、900年前の「あらすじ」の結末なのは、もう理解されていると思うが、「エネルのスペース大作戦」という表紙ストーリーで宇宙海賊が登場し、今になってみるとあの頭の長さも、エネルギーメーターも、銛のような武器もすべてイム様だ。壁画で涙を流す人々の間にはひとつの目玉が浮いている。
足元にはた多くの目を持つ蛇のようなものが描かれている。
グランドラインを最後の島まで到達したことで「海賊王」の名で呼ばれはじめたゴール・D・ロジャー。
彼は宇宙から来た海賊のごとき者が、この世のすべてを牛耳っているたった一人の玉座の主だと知って、涙を流して笑わずにいられなかったに違いない。
ソルベは、〈果汁やリキュール、もしくはそれらを含んだシロップを凍らせて作った、フランス生まれの冷菓〉
ロジャーは氷漬けになった過去の巨大な王国を海中に見たはずだ。
おそらく白い竜・ホワイトストロームの中を、ジンベエがグリーンポケットの中で帆船を走らせたように到達して。
900年前の一欠片の抵抗「ONE PIECE」と、氷に閉ざされた「ひとつながりの秘宝」と、どちらにも手が届かなかった自分の寿命と。
海賊の王として、「この世のすべてをそこに置いてきた」と一世一代の大ボラを吹く権利が彼にはあったと思う。ロジャーの一欠片の反抗も、「ONE PIECE」として伝説になる。
そして白ひげもまた、それが何を指すか知っていながら、ロジャーの「ワンピースはある」と書き換えるのだ。
エースとスクアードの仇、世界政府の転覆を夢見て。
最初から「海賊王」こそがもっとも虚しい玉座だった物語。
Paint It Black
900年前のあらすじを埋め込みつつ、麦わらの一味が居合わせたことで、世界はすでに裏返りつつある。
まるでオセロのように。
「ドラム王国」編はない。あくまでも「アラバスタ編」の中にある。
名もない国から、サクラ王国になり、闇が夜明けに白く変わっていくのだろうか。私は表題、ローリングストーンズの「黒く塗れ」の感覚がしっくりくる。
赤いドアがある。黒く塗れ。
白々しい嘘を1枚ずつ、黒く塗りつぶせ。ひっくり返せ。オセロのように。
残っているのは、くまの魂の依り代、血統因子はなにを記憶・記録するか
レベッカが指していた王子様の子である、王子
キッドの名に見えるプリンスのモチーフと、キラーの懊悩
キッドは赤い髪、サイヤ人のような髪型、磁力、マント、と伏線の塊みたいな存在だ。
デュバルとサンジの伏線から見える、デュマの「鉄仮面」レオナルド・ディカプリオが一人二役で演じた映画「鉄仮面」
つまりは、二人の王、イヌアラシ・ネコマムシで予告されていた不仲の双子
ルフィまでドレスローザで鉄兜を被っていた、大隠し玉がいちばん怖い。
扉絵でロビンが見上げていた二羽の鳥たちは、首にロープをかけて争っていた。なかなかに不穏なのだ。
動画は、デヴィッド・シルヴィアン「Brilliant Trees」
静止キャプチャを拝借しました。