インペルダウン編をデジタルカラー版で読み直したときに、あまりに矛盾を感じたので、「インペルダウン 矛盾」などでググったが、〈LEVEL6〉が肉体的苦痛のない無限の退屈、無限地獄であるため(なんだか矛盾してね?)という疑問に紛れて、私と同じ〈物理的な不可解〉を感じた人はすぐに拾えそうもなかった。
まずその多数が感じた矛盾への答えは、概ね「あれはダンテの神曲・地獄篇だから」という博識回答。ただしダンテの神曲だとしたら、それもまた矛盾する。
辺獄(リンボ) – 洗礼を受けなかった者が、呵責こそないが希望もないまま永遠に時を過ごす。これが一番重い刑罰〈LEVEL6〉になっている。
犯罪者ではないが原罪があるというキリスト教的な観念で、洗礼を受けられなかった生後1日で亡くなった赤ん坊も含まれると想定すると「賽の河原」の「無限」に近い。
神曲では〈LEVEL1〉の刑罰が、〈LEVEL6〉異端者の位置にずれていた。隠したいものを徹底して最下層に押し込めて、なかったことにしたいのか。
無限の退屈なんて聞いた時点で、ジョジョラーはまず、宇宙に吹き飛んだカーズの「考えるのをやめた」を連想するので、当時は特に疑問も感じなかったが、神曲と比較するとおかしくはある。
新世界にあてはまる
昭和のシンガーソングライター原田真二の「タイム・トラベル」の歌詞が、そのままインペルダウンの世界観だと「火の傷の男」はわしじゃぁないの。末尾にアフロパワーとして紹介した。
スフィンクスが眠る砂漠・すれ違いざまマシンガン・ニューヨークではお祭り騒ぎ・甘い吐息・サフラン色のドア
何気なく聴いていると、ん? 砂漠とはアラバスタか?となる。
「焦熱地獄=アラバスタ」を起点として消去法もありで考えたのが以下。
1F(地獄のぬるま湯)
●魚人島編
B1F「LEVEL1」“紅蓮地獄”
●ゾウ
B2F「LEVEL2」“猛獣地獄”
●ワノ国
B3F「LEVEL3」“飢餓地獄”
●ホールケーキアイランド編
B4F「LEVEL4」“焦熱地獄”
●アラバスタ
B5F「LEVEL5」“極寒地獄”
●ドラム王国
「LEVEL5.5番地」“ニューカマーランド”
●空島編
(5.5番地は見えない場所にあり、シャンディアみたいなバズーカ男が登場する)
B6F「LEVEL6」“無限地獄”
●ドレスローザ
飢餓地獄と、猛獣地獄が、いったいワノ国だかホールケーキアイランドだか。考えてもわからんな、ビッグ・マムは猛獣なみだしワノ国は飢えていたし・・・と、このどうにも決めかねるところがツボだと思う。
だからこそ、ビッグ・マムとカイドウは同じ鬼ヶ島で倒されたのだと。
最終章はラスボスが姿を表わす章である。これまでの「悪」たちがみなラスボスの「ミニチュア・スケール」だとし、ルルシア王国を一瞬で消し去ったイム様が「空からの攻撃」を得意とするならば、古代兵器「ウラヌス」に直結する。
その意味でイトイト能力で空を飛ぶドフラミンゴは、わかりやすいミニチュア、スモールタイプで、鳥の名前の中にアナグラム・ドラゴンだ。
イトイトでつくる虚像「にせミンゴ」は、ナミのミラージュ・テンポやビッグ・マムの娘「ブリュレ」ミラミラの実「投影」に通じ、ブリュレの能力でルフィはまるで孫悟空の「分身の術」をやってみせた。
ドフラミンゴは立場上「半天半人」ということになっているので、ヒントの塊だ。カイドウのあのインチキ・SMILE製「百獣」の恐竜たち。
まるで子どものオモチャで嬉々としているカイドウに比べ、ビッグ・マムは実子とその家族で連なる大ファミリー。あの「血統因子」に最後の秘密があるはず。
新世界とは「鳥カゴ」
ワノ国で一見「鶴」にしか見えない光月家の家紋を見、錦えもんの妻は「お鶴」で「ツル」が気になりだしたあとに、ある章を読むと日本の不気味な童謡が浮かんでくる。
かごめかごめ かごの中のとりは いついつでやる
夜明けの晩に つるとカメが滑った 後ろの正面だーれ
寿ぎの鶴は千年・亀は万年、二つの縁起物が滑ると、呪言が聴こえる不気味な歌。寿ぎも呪言も読みは「ことほぎ」。
ONE PIECEの地図として、WEBで見られるグランドライン図は、リヴァース・マウンテンを地図の中心に描かれているが、2枚並べてマリージョアを中心に見れば、左手側:東・南の海側は双子岬をどうにか越えれば、それぞれの故郷に帰れるが、右手側はワノ国が行き止まりで(その先に島があるにせよ)リヴァース・マウンテンが壁になって、どこへも逃げられない。
後ろの正面・マリージョアに向かい、その下にある魚人島をまた命がけで通って、双子岬のあるグランドラインに戻れれば。という条件つき。まさに鬼門。
リヴァースは、ローの「リルーム」とシャンディアの「ヴァース」を連想させる。ローの覚醒技「R・ROOM」はピクシブ(dic.pixiv.net)によると
- 通常のROOMと同じ性質を持つ結界を、対峙した相手を中心に、且つ自身が結界の外にいるように展開することができる
- 応用として、相手が発する音を全て消すこともできる
リヴァース・マウンテンは、双子岬の側では、外への逃げ道に通じ
ワノ国側、新世界ではただの無情な壁となって声も届かない そうも読める。
鳥カゴは、ルフィがナミに怒られたときなどに、よく入れられてますよね。鉄製の檻なんだけど、必ず上からぶら下げられる鳥カゴ状で、ペットケージのような床に置く柵ではないのがミソ。
インペルダウンの不自然

本題までが長かったが、インペルダウンの周囲には、珊瑚礁が見える。
これは本誌をモノクロで読んだときもはっきり見えていて、珊瑚礁は暖かい海に生息するイメージがある。
「サンゴは水温18∼30度のあたたかい海にすむ生きものです。」
そしてLEVEL4「焦熱地獄」は人力です。砂漠らしい砂も描かれているが、実質は大きな釜に囚人が「薪」を運んで煮ている。
しかしLEVEL5「極寒地獄」は自然の森のようにそこにある。獰猛な軍隊ウルフが放たれていて、マゼランの毒を浴びた上にLV5へ投げ込まれたルフィは即死寸前。
ボンちゃんが(オカマ界の神よ!)と祈りながら救出しなければ死んでいた。
軍隊ウルフは、ニコ・ロビンの飛ばされた「テキーラ・ウルフ」の表紙(雪の積もった寒い光景)を見れば、そのまま「敵らウルフ」ですよね。笑
LV4とLV5の関係がおかしい。という話に戻します。
ここへ至るまでに、ウォーターセブン編で「アイスバーグ」さんと「カティ・フラム」の名前に符牒を感じていると、「氷」は最大の謎なのです。
アイスバーグは、氷山でありバラの名前。
カティ・フラムは、カティーサーク号とフラム号という船の名前。
カティーサーク号は茶葉を速く運ぶための船、フラム号は北極海を探検するための特別仕様の船。ということで、「植物と氷」に関する名が二人ともにつけられている。
ウォーターセブンが年々、水位の上昇による被害にあっており船大工二人の名に「氷」があると、氷山が溶けて水位が上がっているのかのように感じる。
その氷山を思わせるような極寒環境がLV5にあり、効率の悪いことにその真上で火を焚いている。
誰かが、水蒸気を欲している?
あるいは氷を溶かしたがっている。
いずれにせよ、囚人を労役に使用できる世界政府側が、というところで一度はこの謎から離れました。
イム様のモデルの一人に「雷霆」の顔があるため、「水蒸気・氷・雷」が結び付かず、理科はわからーん。と放置した。
ただね、この作者は元素記号表も部屋に貼ってあるんじゃねーのかー!と思ったのは遠からずだった。(うちの家族にも周期表を貼ってるのが1人いる)
インペルダウンは聖地
何よりも先に断っておかなければ。
インペルダウンは、どこを切り取ってもその絵が美しいということ。
まず看守たちが身につけている「旗印」でもある、あの徽章。
石造りの建築の内部。広い階段。

この稿を書くのに「珊瑚礁」を探していて、パラパラとめくっていくうち思い出して検索したのは、イスラエル、階段、街。

なぜか伊香保温泉が入ってしまっているのは、検索だからね、ご愛嬌。
これが常識人で「エルサレム」とストレートな検索をするとまた、この光景はすぐに出てこない。私は三つ編みの男たちが闊歩する姿、その歩いていた街を思い出して打った。「超正統派」の黒い帽子に三つ編み。黒い服。
ルフィも時々、丸くて黒い帽子を被る場面がありますね。ドレスローザとか、変装する場面で黒い帽子を乗せて、麦わら帽を隠す。
ゼフのヒゲだけでなく、フランキーも三つ編みにしてみたり、ところどころで思い出せ〜と暗示をかけられているから、あるときフッと像が結びつく。

最初のインパクトで飢餓地獄で処刑されたらしい骨だけの遺体を見る。
バツ印のようなクロス型。
ゾウで、イヌアラシとネコマムシが拷問された跡として残っていたクロス十字。
・・・クロス十字って言葉がおかしいけども。「斜め」十字か。
ヤスイエ様は縦と横が直角の正十字型の処刑台。サザンクロス型
インペルダウンは、ポーネグリフと同じ古代文字があるというので、最初から「怪しい」わけですが、これから最終章で何が出てきても、それは特定の宗教とは関係ないんだよね。
解放のドラムが「ドンドットット♫ ドンドットット♪」なら
本来、ビッグ・マムの「トットランド」(万国)こそ、近かったはず。
でもどこか「ウソランド」なんれすね。きっと。
元素記号
ONE PIECEには神話が多く出てくるよね、とわかりやすいギリシャ神話と見比べても、ビッグ・マムが従えているゼウス・プロメテウス・ヘラの地位が違う。
プロメテウスは、人間の恩人というべき、人間のために神々を欺くような神。肉と火の逸話がある。
最高神ゼウスの浮気性はそのままだが、プロメテウスに見下されるわ、ヘラに邪魔にされるわ、気弱な雷雲は結局最後に意地を見せてナミの相棒になる。
(・・・書いてて、あらら。わりとプロメテウスは的を得てる、ゼウスをバカにしてたでいいんでね? と思ったり。核心を突くよね、ONE PIECE)
さて。ポセイドンも、ゼウスの兄という地位の高い神だが、古代兵器という名からは想像もつかなかったほど可愛らしい「しらほし」だった。
プルトンも石の結晶、海楼石から遠く離れた名前ではない。
ウラヌスも天王星のラテン語名、ウーラノスから「天空神」のように見えるが
プルトニウムは冥王星
ウランは同時期に発見された天王星(Uranus、ウラヌス)の名に由来している。
プルトニウムは、原子力電池(宇宙船)と元素周期表に書いてあった。
タービンを動かす水蒸気が大量に欲しい。
そういう「意図」も見えてくる。
因みにDr.ベガパンクのモデルと見えるアインシュタインは、99番元素:記号「Es」アインスタイニウムの由来にされていた。
ジェルマは、ジェル・ネイルなど硬化性、ゲルマニウム・半導体、なんとでも考えられたが、「高い城の男」(SF小説)からすればGermanyの略だと思う。どちらでもゲルマニウムの由来には違いない。
が、Dr.ベガパンクの頭の林檎がアラン・チューリングの林檎、の根拠にはなる。アラン・チューリングは、ドイツの暗号機エニグマの「天敵」
イギリスの数学者、暗号研究者、計算機科学者。(もぅ計算機の話は趣味に入っている)
とはいえ、ONE PIECE、暗号解読みたいで面白いからね★
と、サンジは「救いの星」かも知れない。失敗作というより、ジェルマの科学が及ばなかった魂の持ち主なので、Dr.ベガパンクがそれを知ったらどうなるか。
元素記号のついでに書くと、ビッグ・マム「リンリン」は、燐(マッチの材料)だと考えている。
ナミの対としては一本の線で書ける名前、ナミ=5本、リンリン=4本、で
ビッグ・マム < ナミ だが
ワノ国に入り、狐火の錦えもんの技と対峙すると、あぁ燐だなと気づく。
さらにサカズキは、盃を逆さに置くと、絵として富士山のように見えるので、火山・マグマの能力、などなど想像にすぎないが(おぉそうも解釈できるな)という素材はどこまでも出てくるので、割愛。
三つ目を気にしろ、なんて絵はそらーもう百獣海賊団から何からいたるところに。バギーの額にバッテン、ゾロは気合いを入れるとバンダナを巻くなど、額の位置になにがあるんだ、あ、プリンちゃん、と後から答えがやってくる。
スーロン
ドラゴンボールの初期・悟空の「満月を見ると大猿になる」と同じく、宇宙から来たことが想像できるミンク族の「月の獅子」
ドラゴンボールの頃は「狼男」が元ネタとわかっているから狼やウルフはもちろん注目点。
スーロンは「暁のヨナ」の四龍と同じ、4人の龍、青竜・白虎・朱雀・玄武といった四神を指すのか、4番目の龍なのか
不気味なのは、人間を毛の少ないサルのミンクと変わらないと言っていて、ミンク族には、もっと違う、かけ離れた「種」もいると予告しているようだ。
アラバスタの守護神が「鳥」だったことから、反転して鳥が悪役になる布石だったとも言えるし、かけ離れた種は爬虫類や鳥かと予測もできる。
「エレクトロ」は、タマゴ男爵が「エレクトロの効かないタイツ」とかふざけていたので、平賀源内のエレキテル「摩擦を利用した静電気の発生装置」が、ワノ国と相性もよく(あー静電気防止タイツあるね)と笑えた。
食えない男、クロッカス
見たものはトボけられない性格なので、書いてしまう。
ルフィは、二度インペルダウンに入っている。
素直に読むというか、絵を見ると、インドラだ混世魔王だ、DBのあの方も当然モデルとして入ってくるよね・・・と細かく特定していったのとは別に
(イム、クロッカスみてぇな頭してるよな)と、不意に思いつき。
もしかしたら水栽培のヒヤシンス(ナルシストの代名詞)かもしれないが、小学校のとき、教室の隅でガラスの器に球根を挿して、水栽培した、あれらは「クロッカス」と覚えていて、12巻の双子岬をめくってみた。
ブリュレの「投影」つまりは、「見立て絵」か、今でいうコスプレ、プロジェクションマッピングが癖になっていると、バロックワークスの二人組、ミス・ウェンズデーとMr.9がバズーカを撃った瞬間に、二人が「しらほしとモモのすけ」に見えた。だからこんな王子さまみたいな格好してたのか、と。
マリンフォード頂上戦争では影も見えなかった二人。
ハッとしてページを戻ると、くじらの腹の中で、クロッカスが「虚の玉座」に座っていた。

アラバスタ国王のコブラを、こんな風に殺害したんですよね・・・(画像だけ見た)

鉄の船で「プルトン」を模すクロッカス。

ルフィがくじらの背中にドアを見つけた場面。イムがどこか地下らしい場所に出入りするのと、吐く息までそろえてあり、イムが上っていく長い階段は、エースが最後に歩いた階段と酷似しているけれど・・・
左右に配置された飾り物が忌まわしい雰囲気。

インペルダウンというより、その地下はこうなってるんだよと。
水路があって広くて、

イメージはこんな風に繋がっているという、徽章なんだろうなと思っていた図。

正義の門。
クロッカスがロジャーの船医で、すべてを知っているとわかった後で見ると、あの食えない感じが抜群でした。
氷についてはドレスローザ編でチンジャオ老師が、目の前にある自分の財宝を手にできない、その悔しさがわかるかーっと大泣きしていた。
オーロジャクソン号のクルーが一人ずつ、歯が欠けるように抜けていったのはそういうことか、と。
陽樹イブとは
宝樹アダムと、混同されるように出てくるから、つい単純なことを見落とすんですね。
「宝樹」は南総里見八犬伝の「宝珠」を、そういう概念に置き換えたんだ!と後で気づいて、えらく感心してしまった、すごいアイデア。
アダムとイブだと男女のセットのようだが、陰陽がワンセットではないのが最初の盲点。イム・イブは双子なのかキョウダイなのか親子なのか。

イム様のモデルの一人は、庭を持っている。そんなところもきちんと設計「ルール」に引き込んでいる。
「宝樹アダム」はもう見ていると思うんですよね。
くじらの森の木か、九里城が焼け落ちたのに、次の城にも同じような樹があったのが宝樹なのか、ドラム王国のあの枯れた樹のような大きな山か。
イム様が「高い城の男」なら高い山の上の城に棲む「Dr.くれは」が、長寿、男女、Dの意志を知る二人ということで対として、あの山が実は「宝樹アダム」の線を濃く感じている。